お酒には色々な種類があり、ウイスキーと他のお酒との違いが分からい人も多いのではないでしょうか。
お酒の種類や違いを知ることで、よりウイスキーに興味が湧いてくるはずです。
今回はウイスキーと他のお酒との違いを徹底解説していきたいと思います。
お酒ってたくさん種類がありますよね。
ウイスキー以外にも好みのお酒が見つかるかも。
ウイスキーの定義は?
ウイスキーの定義は実は国によってかなり異なります。
しかし一般的には、以下の3つの条件を満たしているとウイスキーとされます。
- 穀物を原料としていること
- 糖化、発酵、蒸溜を行っていること
- 木製の樽で熟成されていること
ここで言う穀物とは、大麦麦芽やトウモロコシ、ライ麦など様々です。
蒸溜をするため色は無色透明になりますが、樽熟成で色が移り黄金色のウイスキーが出来上がります。
詳しいウイスキーの製法についてはまた別の記事で、、、
ちなみに日本では酒税法でウイスキーについて以下のように定められています。
十五 ウイスキー 次に掲げる酒類(イ又はロに掲げるものについては、第九号ロからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)をいう。
イ 発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ロ 発芽させた穀類及び水によつて穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ハ イ又はロに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イ又はロに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る。)
酒税法第三条十五
一見問題なさそうですが、樽熟成や産地について全く記載がありません。
樽に入れなくてもウイスキーと名乗れますし、外国で作ったウイスキーもジャパニーズウイスキーと名乗れるんです。
そこで2021年に日本洋酒酒造組合が、自主基準ですがジャパニーズウイスキーの定義を初めて定めました。
原材料:原材料は、麦芽、穀類、日本国内で採水された水に限ること。なお、麦芽は必ず使用しなければならない。
製造:糖化、発酵、蒸留は、日本国内の蒸留所で行うこと。なお、蒸留の際の留出時のアルコール分は 95 度未満とする。
貯蔵:内容量 700 リットル以下の木製樽に詰め、当該詰めた日の翌日から起算して 3 年以上日本国内において貯蔵すること。
瓶詰:日本国内において容器詰めし、充填時のアルコール分は 40 度以上であること。
その他:色調の微調整のためのカラメルの使用を認める。
ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準 第 5 条(特定の用語の使用基準)
だいぶ細かく決められましたね。
厳しい基準をクリアしたものがジャパニーズウイスキーを名乗れるんです。
お酒は醸造酒・蒸留酒・混成酒に分類できる
続いてウイスキーと他のお酒の違いを見て行きます。
お酒は醸造酒・蒸留酒・混成酒の3種類に分類することができます。
ちなみにウイスキーは蒸留酒に相当します。
分類 | 醸造酒 | 蒸留酒 | 混成酒 |
---|---|---|---|
特徴 | 穀物や果実を 発酵させたもの | 醸造酒を 蒸溜したもの | 醸造酒や蒸留酒に 香料や糖分などを 加えたもの |
具体例 | ・ビール ・日本酒 ・ワイン ・シードル | ・ウイスキー ・ブランデー ・ジン ・ウォッカ ・ラム ・テキーラ ・焼酎 ・泡盛 | ・リキュール ・梅酒 ・カクテル ・みりん |
醸造酒ってどんなお酒?
醸造酒は穀物や果実を発酵させた飲み物です。
蒸留をしないのでアルコール度数は数%~十数%となります。
また蒸溜で不純物が取り除かれないため、原材料成分が多く残り糖質も高めです。
飲み方は割ったりせずにそのまま飲むことが普通です。
醸造酒の代表的な例を4つご紹介します。
醸造酒品目 | ①ビール | ②日本酒 | ③ワイン | ④シードル |
---|---|---|---|---|
原料 | 麦芽 ホップ | 米 米こうじ | ぶどう | りんご |
アルコール 度数 | 5%前後 | 15%前後 | 12%前後 | 5%前後 |
醸造酒①ビール
ビールは麦芽、ホップを発酵させて作られます。
アルコール度数は5%前後。
原材料の麦芽はウイスキーにも共通していますが、ホップを使うのはビール特有です。
ちなみにホップとはアサ科の植物で、苦みや香りづけの役割があります。
代表的なビールだと「アサヒ スーパードライ」「サントリー ザ・プレミアム・モルツ」などがあります。
ビールの中でもビール、発泡酒、第3のビールと3種類に分けることができます。
ビール | 発泡酒 | 第3のビール |
---|---|---|
麦芽使用率が2/3以上 | 麦芽使用率が2/3未満 | 主原料が麦芽以外 |
居酒屋についたらまずはビール!
社会人に一番よく飲まれているお酒ではないでしょうか。
醸造酒②日本酒
日本酒は米と米こうじを発酵させ、こすことで作られます。
アルコール度数は醸造酒の中では高めの15%前後。
原材料の米こうじとは、蒸した米にカビの一種であるこうじ菌を繁殖させたものです。
代表的な日本酒だと、獺祭や田酒などがあります。
製法で特徴的なのは精米(米を磨く)です。
米は中心に行くほどでんぷん質で雑味が少なくなります。
この精米作業には長い時間がかかり、数日かかることもあるそうです。
日本酒は製造方法と精米歩合(米を磨いて残った割合)によって8種類に分類できます。
精米歩合\原材料 | 米+米こうじ | 米+米こうじ +醸造アルコール |
---|---|---|
精米歩合50%以下 | 純米大吟醸酒 | 大吟醸酒 |
精米歩合60%以下 | 純米吟醸酒 | 吟醸酒 |
精米歩合60%以下 または特別な製造方法 | 特別純米酒 | 特別本醸造酒 |
精米歩合70&以下 | – | 本醸造酒 |
– | 純米酒 | – |
また他にも製造上の特徴によって「にごり酒」「生貯蔵酒」などにも分類できます。
飲み方は冷酒、冷や(常温)、熱燗の3種類が一般的です。
飲み方や種類が多様なのは、ウイスキーにも通ずるところがあるかもしれません。
日本独自の日本酒は、海外でも「SAKE」として高い人気があるんです。
海鮮を食べるときは日本酒が飲みたくなりますね!
醸造酒③ワイン
ワインはぶどうを発酵させて作られます。
アルコール度数は日本酒より少し低めの12%前後。
ビールや日本酒とは異なり、ぶどうの水分を使用するため水は使わないことが特徴です。
代表的なワインだと「ルイ ジャド ボージョレ ヴィラージュ コンボー ジャック」「ベリンジャー ファウンダース・エステート」などがあります。
ワインはウイスキーと同様に、樽で熟成され香りや味わいが深まります。
またウイスキーでよく耳にするシェリーとは、ワインにアルコールを足して度数を高めた酒精強化ワインのことです。
シェリー樽で熟成したウイスキーは、ワイン(ぶどう)の香りや甘さが生まれます。
ワインは一般的に少し冷やすか常温でグラスに注いで飲みます。
ワインには赤ワインと白ワインがありますが、発酵を果汁だけするか、皮や種も含めるかの違いなんです。
種類 | 赤ワイン | 白ワイン |
---|---|---|
発酵するもの | 果汁+皮+種 | 果汁のみ |
主原料 (例外あり) | 赤ぶどう | 白ぶどう |
特徴 | 深い果実の香り ポリフェノールが多い | 爽やかな香り 酸味が強め |
醸造酒ですがウイスキーにも関わりのあるワイン。
長期熟成されるとまろやかになりますね。
醸造酒④シードル
シードルは主にリンゴを発酵させて作られます。
アルコール度数はビールと同じくらいの5%前後。
原材料は主にリンゴですが、世界的には梨やラズベリーなどでもシードルを作られるようです。
代表的なシードルだと「ニッカ シードル」「メルシャン シードル」などがあります。
シードルはリンゴを搾り、タンクの中で発酵させることでできる、リンゴだけで作られるお酒です。
またシードルにはよく見かける発泡性のもの以外に、非発泡性のものもあります。
シードルのアルコール度数を高めるために蒸溜すると、カルヴァドスという蒸留酒になります。
飲み方は発泡性のシードルは冷やして飲みますが、非発泡性のものはホットでも飲まれます。
実家がリンゴ農家で青森だから、どこでもリンゴジュースとシードルが売られていました。
ワインよりも飲みやすくて、特に若い人にオススメです。
蒸留酒ってどんなお酒?
蒸留酒は醸造酒を蒸留させたお酒です。
蒸留することで醸造酒よりもアルコールが高くなり、40%を超えるものが一般的です。
アルコール度数が高いことで菌が繁殖しないため長持ちしたり、冷凍庫に入れても凍らなくなります。
蒸留によって不純物が取り除かれることで、糖質もほとんど含まれないことが特徴です。
醸造酒の代表的な例を4つご紹介します。
醸造酒品目 | ⓪ウイスキー | ①ブランデー | ②ジン | ③ウォッカ | ④ラム | ⑤テキーラ | ⑥焼酎 | ⑦泡盛 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
原料 | 穀物 (大麦麦芽) | ぶどう | 穀物 ボタニカル | 穀物 | サトウキビ | アガベ (リュウゼツラン) | 穀物 | 米 |
アルコール 度数 | 40%前後 | 40%前後 | 40%前後 | 40%前後 | 40%前後 | 40%前後 | 25%前後 | 30%前後 |
蒸留酒①ブランデー
ブランデーは白ぶどうを原料として蒸留させて作られます。
つまりワインを蒸留したものがブランデーです。
ぶどうを原料としたブランデーの中でも、地域や製法が厳しく定められた特別な分類もいくつかあります。
ブランデー 名称 | コニャック | アルマニャック | ピスコ |
---|---|---|---|
生産地 | フランス 南西部 | フランス 南部 | 南米 |
正確にはぶどう以外の果実を用いて作ってもブランデーとなり、原料によって名前が変わります。
ブランデー 名称 | カルヴァドス | キルシュヴァッサー | スリヴォヴィッツ | フランボワーズ | ハニー・シュナップス |
---|---|---|---|---|---|
原料 | リンゴ | サクランボ | プラム | キイチゴ | 蜂蜜 |
コニャックとかフランボワーズとかは聞いたことある人も多いはず。
アルコール度数は40%前後。
代表的なブランデーだと「サントリーブランデー V.O」「レミーマルタン XO」などがあります。
ブランデーはウイスキーと同様、蒸留した後に樽で熟成されます。
樽熟成の期間によってブランデー名称に符号が付けられるのが特徴です。
表記 | VS | VSOP | ナポレオン | XO |
---|---|---|---|---|
最低熟成年数 | 2年 | 4年 | 6年 | 10年 |
飲み方はストレートやロック、水割りが一般的です。
かなりウイスキーに似た飲み物だと分かりますね。
ウイスキー好きはブランデーも好きになるかも。
蒸留酒②ジン
ジンは大麦やジャガイモなどの穀物を原料として蒸留させて作られます。
ジン、ウォッカ、ラム、テキーラは世界4大スピリッツと言われています。
アルコール度数は40%前後。
ジンは他のスピリッツとは異なり、穀物を蒸留した後ジュニパーベリーをはじめとしたボタニカルで香りづけされます。
代表的なジンだと「ボンベイ・サファイア」「サントリースピリッツ 翠ジン」などがあります。
ボタニカルで香り付けするため、他のスピリッツより味わいに特徴がでます。
飲み方はソーダ割(ジンソーダ)が主流ですが、カクテルではジントニックがかなり有名です。
最近日本では少量生産で個性を出したクラフトジンが続々出てきました。
ジントニックやジンソーダはコンビニでも缶で売られていますよね。
蒸留酒③ウォッカ
ウォッカは大麦やジャガイモなどの穀物を原料として蒸留させて作られます。
4大スピリッツの1つで、アルコール度数は40%前後。
ジンとウォッカは原材料も製法もほとんど同じです。
ボタニカルで香り付けするとジン、そのままろ過したものがウォッカです。
代表的なウォッカだと「スカイウォッカ」「スピリタス」などがあります。
ウォッカは余計なものを加えないため、さっぱりクリアな味わいになります。
そのクリアな味わいから、カクテルに使われることが多いです。
代表的なカクテルはソルティドッグやブラッディ・メアリーなどがあります。
居酒屋にもメニューにあることが多いですね。
有名なスピリタスは驚異のアルコール96%。
世界一にふさわしいお酒、しっかり割って飲んでみてください。
蒸留酒④ラム
ラムはサトウキビを原料に蒸留させて作られます。
4大スピリッツの1つで、アルコール度数は40%前後。
代表的なラムだと「バカルディ スペリオール」「キャプテンモルガン スパイストラム」などがあります。
ラムはものによっては樽に熟成されることもあり、ウイスキーと見た目が変わりません。
色による 分類 | ホワイト・ラム | ゴールド・ラム (アンバー・ラム) | ダーク・ラム |
---|---|---|---|
特徴 | 透明。 ろ過して作られる。 | 薄い褐色。 樽で熟成。 | 濃い褐色。 樽で3年以上熟成。 |
ダーク・ラムやゴールド・ラムはストレート、ホワイト・ラムはカクテルに使われることが多いです。
カクテルだとミントが香るモヒートが有名ですね。
ラムやブランデーはお菓子作りにも使われたりしていますよね。
ウイスキー好きはダーク・ラムも試してみるといいかも。
蒸留酒⑤テキーラ
テキーラはアガベ(リュウゼツラン)を原料として蒸留させて作られます。
4大スピリッツの1つで、アルコール度数は40%前後。
アガベ(リュウゼツラン)はアロエのような見た目をした植物で、根元の球茎を使用します。
代表的なテキーラだと「クエルボ・エスペシャル」「サントリー サウザブルー」などがあります。
アガベは育てるのに10年、収穫は力作業とかなり労力がかかります。
また樽で熟成されることで、名称も変わります。
名称 | ブランコ | レポサド | アネホ | エクストラアネホ |
---|---|---|---|---|
樽熟成 | 60日未満 | 2ヶ月~1年 | 1年~3年 | 3年以上 |
テキーラはショットが有名ですが、ロックやハイボールでも飲まれます。
カクテルではライムや塩がついたマルガリータが有名です。
テキーラはサトウキビが特徴的ですね。
蒸留酒⑥焼酎
焼酎は穀物を原料として蒸留させて作られます。
簡単に言うと日本酒を蒸留したものが米焼酎になります。
アルコール度数25%前後。
焼酎は芋焼酎、米焼酎、麦焼酎、黒糖焼酎など原料によって呼び名が変わります。
代表的な焼酎だと「魔王」や「黒霧島」などがあります。
製法は日本酒と似ていますが、原料が米だけとは限らないこと、蒸留することが特徴です。
焼酎はストレート、水割り、ロック、お湯割りなど様々な飲み方で飲まれます。
焼酎には甲類焼酎と乙類焼酎の2種類に分類できます。
分類 | 甲類焼酎 | 乙類焼酎 |
---|---|---|
製法 | 連続式蒸留焼酎 | 単式蒸留焼酎 (本格焼酎) |
特徴 | 風味は弱い。 すっきり。 | 風味しっかり。 個性豊か。 |
具体例 | 金宮 ビッグマン など | 芋焼酎 麦焼酎 など |
単式と連続式で別れるのはウイスキーと似ていますね。
焼酎ハイボールはチューハイとして親しまれています。
蒸留酒⑦泡盛
泡盛は米を主原料に蒸留させて作られます。
アルコール度数は焼酎より少し高めの30%前後。
米焼酎と似ていますが、泡盛の米は細いタイ米が使われています。
代表的な泡盛だと「忠孝」「瑞泉」などがあります。
米焼酎と泡盛の違いはいくつかあります。
お酒 | 泡盛 | 米焼酎 |
---|---|---|
原料 | タイ米 | ジャポニカ米 |
麹 | 黒麹 | 白麹 |
また泡盛はウイスキーと同様長期熟成されても飲むことができます。
なかには数10年、100年以上熟成されているものもあるようです。
飲み方は焼酎と同様ストレート、水割り、ロック、お湯割りなど様々な飲み方で飲まれます。
沖縄ならではの泡盛。
旅行に行ったら飲んでみたいです。
混成酒ってどんなお酒?
混成酒は醸造酒や蒸留酒に香料・甘味料・色素などを加えたお酒です。
カクテルに使うリキュールが含まれます。
混成酒①リキュール
リキュールは蒸留酒に香味や甘味を加えたものです。
アルコール度数は様々ですが、10~20%程度が多いです。
種類がかなり多いですが、大きく4種類に分けることができます。
種別 | 薬草・香草系 | 果実系 | ビーンズ・ナッツ ・カーネル系 | 特殊系 |
---|---|---|---|---|
具体例 | カンパリ ヴァイオレット | キュラソー 梅酒 | カルーア アマレット | クリームリキュール アドヴォカート |
代表的なリキュールは「梅酒」や「カルーア」などがあります。
リキュールは主にカクテルに使われることが多いです。
ちなみにウイスキーの中には蜂蜜味やリンゴ味などの味を加えた、フレーバードウイスキーというものがあります。
これは定義上リキュールに分類されます。
ジムビームやジャックダニエルによく見られます。
スーパーには抹茶やチョコのリキュールも見かけます。
自分好みのリキュールを探すのも楽しいですね。
まとめ
今回はウイスキーとそのほかのお酒との違いをご紹介しました。
よく知らないけど意外と聞いたことのあるお酒があったのではないのでしょうか。
またかっこいい名前やおいしそうなお酒が見つかりましたか?
他のお酒もこだわりや特徴があって、種類豊富です。
興味のあるお酒はぜひ一度挑戦してみてください。
そしてウイスキーとの違いも楽しんでみてくださいね。
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